ベティアンよかえれ/SF宇宙人類史
集英社ジュニア版世界のSF3『夜明けの惑星』に同時収録された2作品を紹介します。
【ベティアンよかえれ】
『夜明けの惑星』に同時収録された物語。一冊に二つの作品が収録されていてお得です。
事故現場に置き去りにされていた赤ん坊は養子として育てられます。
その少女ベティアンは万能の天才として頭角を現していました。
実は彼女の正体は宇宙人だったのです。
やがて元の惑星からお迎えが来て……。
検索してみると、本作品は長編版もあって、そちらは矢野徹さんが翻訳されているようです。福島正実さんと矢野さんの翻訳を読み比べても面白いのでは、と思いました。
長編版と短編版では結末のベティアンの選択は同じなのでしょうか。ネット上の感想を拝読すると、どうも私が読んだ福島版(短編版)と結末が違うのではないかという気がしてきました。
このベティアンさん、現在のスピリチュアル界隈でいう「スターシード」のようなものですね。
そんなことを言えば、私も子ども時代からずっと周囲の人々と波長が合わずうまく行きません。私もスターシードなんでしょうか。
ベティアンよ帰れ (ハヤカワ文庫 SF 74) – クリス・ネヴィル, 矢野 徹
【SF宇宙人類史】
「科学読物」と銘打って巻末に収録された読み物。数ページでお茶を濁したものではなく、30ページを超える本格的な読み物です。
福島正実さんが科学とSFの知識を動員して人類誕生と進化の謎にせまっています。
進化論やら古生物学やら古代文明論といった正統的な学問について解説しているかと思えば、著名なSF作品を紹介するなど、科学とSFの境界を自由自在に行き来しています。子ども時代にこのような著述を読むと、科学やSFに関心を持った知的好奇心旺盛で発想力豊かな逸材に育つことでしょう。素晴らしい編集です。私も子ども時代にこのシリーズを全巻読破しておきたかった。
さて本論考では、冒頭で、1967年にルナ・オービター2号が送ってきた月の写真に6つの塔やピラミッドのような人工建造物が写っていたことが紹介されています。そんなことあったのですか。初めて知りました。本論考では「詳細は不明である」と結論付けられていましたが、その後研究が進んで結論が出たのでしょうか。
←不鮮明でよく分かりません
月面に超巨大都市やピラミッドがある! 謎の構造物を建造したのは異星文明か?
/並木伸一郎・月の都市伝説
https://web-mu.jp/paranormal/17469/
「いまの人類は第二紀人類か?」という仮説も紹介されています。
つまり、大昔に人類は科学を発展させていたが何らかの事情で文明を失い、一度退化して再び発展してきたものだ、という仮説です。
これはなかなか魅力的な仮説です。しかしこれは正統派科学で言われていることではなく、あくまでもSF小説における概念です。
本論考では、著名なSF小説が幾つか紹介されています。
アーサー・C・クラーク『前哨』
エドモンド・ハミルトン『月の廃墟』
ベン・ボバ『星の征服者』
前哨 (ハヤカワ文庫 SF 607) – アーサー C.クラーク, 小隅 黎
虚空の遺産 (ハヤカワ文庫 SF 459) – エドモンド ハミルトン, 安田 均
どれも皆「SF宇宙人類史」というテーマに沿った興味深い物語です。
本書に限らず、子ども時代に読んだ子ども向けSF本の解説には色々な作品紹介が載っていたように思います。そういう解説を読んでSFの知識をつけたり、ガイドブック的な使い方をしたりしたものです。
それにしても「SF宇宙人類史」とは、面白い学問ですねえ。私が子ども時代に本書を読んでいたら、「SF宇宙人類学」の研究者を志望していたかもしれません。(2024.0311)
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