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21世紀版『失われた世界(ロストワールド)』映画化原作!【コナン・ドイル原作】【森詠監督】

 先日、コナン・ドイルの『失われた世界』を読みました。
 
20世紀少年少女SFクラブ
 S・ホームズの良きライバルであるかの教授が大活躍!『失われた世界』
  https://sfklubo.net/the_lost_world/
 編集後記&参照リンク集&コメントコーナーなど
  https://sfkid.seesaa.net/article/482093349.html

 ついでに、現在の特色あるジュブナイル向け翻訳も読んでみました。

  

失われた世界 痛快世界の冒険文学 (13)(1998年)
森詠の失われた世界 (シリーズ・冒険8)(2002年)
↑内容は同じものだと思われます

ameqlist 翻訳作品集成(Japanese Translation List)
 講談社(KodanSha)/痛快世界の冒険文学 1997-1999年
 講談社(KodanSha)/シリーズ・冒険 1999-2000年
  https://ameqlist.com/0ka/kodan/boken.htm

 私が読んだのは1998年版でしたが、2002年版も内容は同じだと思われます。
 いやーこれは面白い版ですよ。
 最初の展開は省略はあれど原作に忠実な訳だと思っていたら、やがて現地案内人の名前が完訳版と違ってくるし、完訳版には登場しない案内人も登場するし、いつの間にかパラレルワールドな展開に。
 著者の森詠さんはあとがきで書かれています。

「もし、コナン・ドイルがいまの時代に生きていたら、単純にはこうした人間の科学を礼賛することなく、科学への懐疑や、自然への畏怖や愛情を抱いて、小説を書いたにちがいない。」

「ぼくはそうした思いで、コナン・ドイルになりかわって本編を書きなおした。だから、本編は必ずしも原作のストーリーそのままをダイジェストしたものではない。」


 
 その通り、本書と完訳版と読み比べてみると全く違った展開となっています。
 これはつまり、原作のある作品の映画化版を見ているような感じです。
 1912年に出版された原作は今読むと当時の大英帝国の帝国主義的な思想や民族差別的な思想など、今読むと古臭く感じられる部分もあります。
 そういった価値観を20世紀末~21世紀初頭の価値観でアップデートして制作された映画版、と考えればいいのかと。
 物語の結末も生物多様性やエコロジー的な観点から原作と大きく違っています。

  
  
 原作で今読むと問題ありそうなインディオと猿人の間の戦争についても、現在の価値観から改められています。
 確かに理想的な展開なのですが、大人の観点から見ると、そんなにうまくいくんかいな、都合良すぎじゃないかとも思えます。
 しかし本書は少年少女向けに翻訳されたものだということを忘れてはなりません。
 少年少女向けの読み物は、大人の人間社会の複雑で難しい読み物とはまた違ったものとなって良いのではないでしょうか。
 そういう本はもっと大きくなってから読めばいいのであって、子ども時代の読書はもっと単純で楽しいもので良いものだと私は思います。まあこれは読書論の範疇に入ってくる問題ですね。
 というわけで、本書は大人が読んでもドキドキワクワク。
 たまには子ども心を思い出して子ども向け大冒険娯楽大作映画を見るつもりで楽しみましょう。(2021.06.29)

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