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超磁力兵器使用後の荒涼たる世界!【四次元世界の秘密】LPデービス


四次元世界の秘密 (1971年) (少年少女世界SF文学全集〈6〉) - – 1971/11/25
 L.P.デービス (著)  白木茂 (翻訳) 山本耀也 (イラスト)

★ ☆ ★ ☆ あらすじ ★ ☆ ★ ☆彡
 メーバー教授は四次元世界の研究に熱意を傾けていました!
 そして四次元世界への通路を開く装置を研究していたのであります!
 3つの磁場を合わせて複雑な磁場を作り、それが通路を開くという理論!
 そしてその装置は完成し、教授は助手と共に四次元に吸い込まれてしまったのでした!!
 メーバー教授の甥・リーとその友人・モートンはレミング教授に助けを依頼し、装置を修理するのです。
 そして再び四次元世界への通路を開こうとするのですが、レミング教授不在時の事故によりリーとモートンは四次元世界に吸い込まれてしまいました!!
 その世界は超磁力兵器による戦争後の荒廃した世界!果たして二人はメーバー教授を発見することができるのでしょうか!そして元の世界に戻れるのでしょうか!!!
★ ☆ ★ ☆ ★ ☆ ★ ☆ ★ ☆ ★ ☆彡

     

 この作品は小学生時代に大好きでした。
 主人公が危機を切り抜けるためにあるツールが役立ちます。それは今ではあまり見かけなくなったものですが、私の子供の頃はありました。私も偶然それを持っていたので、これを持っていれば四次元世界に迷い込んでも大丈夫だ、と思ったりしたものです。物語の細部のことは忘れたのですが、このツールのことはその後ずっと覚えていたものです。記憶とは面白いものですね。
 
 さて本作品の主人公となるのは大学生。友人と共に四次元世界で冒険します。さすが紳士の国・英国の理系の大学生だけあって、考えることは理論的です。異世界に紛れ込んでも学問の目でその世界を観察して考察します。

 二人が訪れた世界は、頻繁に磁気嵐が吹き荒れ、頻繁に緑色の毒霧が出現し、原始人のような人間が住んでいる痩せた土地でした。
 実はこの世界「コルバ」ははるか以前、磁力を使った兵器を使用したために大地殻変動に襲われ、ほとんどが蒸発してしまったのです。
 これ、『未来少年コナン』の世界と似ていますね。

「西暦2008年7月、人類は絶滅の危機に直面していた。
核兵器をはるかに超える超磁力兵器によって、世界の半分を一瞬にして消滅させてしまった。 地球は大地殻変動に襲われ、地軸はねじ曲がり、五つの大陸はことごとく引き裂かれ、海に沈んでしまった。」

 そしてその磁力爆弾の影響によって新たな生物が誕生します。
 破壊された色々な細胞が空中で渦巻きになってかき回されているうちに複合され合成され、一つの生物となったのです。それが緑の霧の正体だったのです。
 こんないきさつで新生物が生まれるとは面白いですね。SFならです。ビジュアル的なイメージとしては『ウルトラQ』に登場した「バルンガ」のようなものでしょうか。

        

 ともかくこういった変な世界を若者二人は冒険します。二人とも考えることは科学的で理知的なのですが行動は意外と乱暴で、友好的な人類(トパリア人)から食事をもらって保護されてもコミュニケーションしようとせずに逃げたり攻撃したりします。さすがにトパリア人が怒るのも無理はない。

 ところで、本書のタイトルは『四次元世界の秘密』。
 主人公達が訪れた世界は四次元世界だ、という前提で訳されているようですが、どうもこの世界は我々の住む世界と同じように3つの次元の世界で、我々の世界と同じ物理法則で成り立っているように思えます。
 原書のタイトルは【DIMENSION A】。三次元より一つ上の世界というより、別の次元の世界・パラレルワールドという意味なのでしょうか。
 私が子どもの頃は児童書でも四次元世界という概念がよく出てきましたが、パラレルワールドという概念も四次元と同じように扱われていたのではないでしょうか。
 少し調べてみると、次元に関しては色々複雑で、簡単には言い表せない概念のようです。突っ込んで勉強したくなる面白いテーマだと思います。

      

 それで、平行世界「コルバ」では、磁気戦争の際の磁力兵器の使用によって放射能が消えてしまった、ということです。この設定については考察の余地があります。
「コルバ」が我々の住む世界と同じ原子で成り立っているのなら、放射能が消えるとはあり得ないことです。
 宇宙線によって放射性物質は常に生成されているのであるし、地上に存在する物質には放射性同位体が含まれています。それらが一斉に無くなってその後も生成されないというのなら、我々の住む世界と違った原子構造を考えないといけないのではないでしょうか。ということで、我々の住む次元とは違う四次元世界だった、ということなのでしょうか。

     

 巻末の解説では訳者の白木茂さんが「四次元世界とSF」というテーマで四次元世界について解説されています。
 世界各地で発生した不思議な事件が色々と述べられています。こういう話、私が子どもの頃は子ども向け雑誌などでよく読んだものです。
 イギリスやアメリカで緑の皮膚をした人間が出現して、それは四次元世界から来たのではないかとも書かれています。
 子ども向けSF全集は解説も面白いものです。同じようなテーマのSFが紹介されることも多く、私もそういったブックガイドを読んでSFの知識を増やしていったものです。本書でも他の四次元をテーマにしたSF小説の紹介があれば完璧だと思うのですが、それはありませんでした。

 本作品の作者デービスさんは色々な職業を経験し、現在は眼鏡店を経営しながら作家として活躍していると紹介されています。日本でも何冊か紹介されていて、評判いいようです。私も読んでみたいと思いました。
 しかし、このあかね書房の少年少女世界SF文学全集、ウェルズやアシモフやハインラインのような古典作品や大御所の作品から本作のような同時代のジュブナイル作品まで、バラエティに富んだ目利きの選択であります。(2023.06.11)

     

          

               

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