人類発祥以前の謎の高度な南極文明!?【ハチュウ類人間】立花広紀
★ハチュウ類人間 (創作子どもSF全集 14)
立花広紀・著 木村正志・絵 1971年国土社
★ ☆ ★ ☆ あらすじ ★ ☆ ★ ☆彡
幸一とリカは化石生物学者の坂本博士の研究のお供で南極のプリンスハラルド海岸の調査に向かいました!そこはかつて、坂本博士の友人・川井教授が行方不明になった因縁の場所なのでした!
川井教授も坂本博士と並ぶ高名な化石生物学者だったのでした!それがある時から不思議な仮説を主張を始め、学会の異端児となっていたのでした!
人類誕生以前の南極がまだ赤道直下の温かかった時代、この地には知能の進んだハチュウ類人間が住んでいたんだよ~~~~~~!
な、、、何だってえ~~~~~~!
果たしてそのようなことはあり得るのでしょうか!!
そして幸一君達は謎の洞穴を発見し、中で貴重な完全な始祖鳥の化石を発見します!な、、、何だってえ~~~~~~!
博士と田村助手が発掘道具を取りに車に戻っている間に幸一君とリカは洞窟の中を探検します!そして頻発する謎の地震!
果たして洞窟の中で幸一とリカを待ち受けるものは何か!?そして二人は無事地上に戻ることができるのでしょうか!!!
★ ☆ ★ ☆ ★ ☆ ★ ☆ ★ ☆ ★ ☆彡
前回【コンピューター人間】
を読んだので、今回は【ハチュウ類人間】を読みました。
いや~これはきれいにまとまったジュブナイルSFの王道的展開です。
国土社の創作子どもSF全集には【犬の学校】【だけどぼくは海を見た】【ぼくのまっかな丸木舟】などのような不条理で不可解でトラウマを残すような変化球的な作品も多く収録されていますが、本作品はスッキリスッパリとまとまっている典型的なジュブナイルSF作品だと思います。
『ウルトラQ』の一話に入っていても違和感ないと思います。南極にぺギラがいたのですから、その近所にハチュウ類人間がいたとしてもおかしくありません。
逆に言うと、あまりにも類型的でベタな進行と結末なのですが、もう難しいことを考えずに幸一君達の冒険を楽しめばいいと思います。子ども時代に読んで楽しめるのは本作品のような展開だと思います。
巻末の著者紹介を見ますと、著者はエスぺランチストのようです。
立花広紀
1940年、大分県に生まれる。
エスぺランチスト。現在十数ケ国に国際ペンフレンドを持っている。
国際エスペラント協会(UEA)会員。
日本エスペラント協会(JEI)会員。
当時は国際語エスペラントの普及による国際交流の進展、という夢に現実味があったのですね。
エスペラントの発表は1887年なのですが、二度の世界大戦で世界が一度ご破算になって戦後民主主義の時代になり、これからはエスペラントの時代だ!という機運が上がっていたのでしょうね。1961年発行の『エスペラントの話』(三宅史平著、大学書林)にはそのような期待感があふれています。
そのような時代に新しいもの好きのSF作家がエスペラントに興味を持つのも自然なことだったのではないでしょうか。(ジュール・ヴェルヌもエスペラントに共感して小説のテーマにしようとしていたらしいです。)
また、瀬川昌男さんもエスぺランチストであって、作品中にも登場します。
チタンの幽霊人 用済みとなったサイボーグ達の悲しい復讐の物語
また、宮崎惇さんの『怪惑星セレス』にもエスペラントが登場しました。金の星社の少年少女21世紀のSFシリーズには、10冊中3冊にエスペラントが登場していたことになります。
怪惑星セレス ボーイスカウト大活躍!単純に楽しめる冒険活劇!
さて、物語では最後、貴重な遺跡もハチュウ類人間の生き残りも地震によって埋もれてしまいます。
人類以前の貴重な文明の遺跡も消えてしまった……と美しい終わり方です。
でも、よく考えると爆発したわけではなく、単に地震で生き埋めになっただけではないですか。普通に発掘作業すれば発掘可能なんでは……?
当時読んでそう突っ込んだ子ども達もいたのではないでしょうか?
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