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E・E・スミス【宇宙船スカイラーク号】亀山龍樹&松永謙一コンビで続編も読みたかった

宇宙のスカイラーク号 (冒険ファンタジー名作選(第1期)) - エドワード・E. スミス, 赤石沢 貴士, 亀山 龍樹
宇宙のスカイラーク号 (冒険ファンタジー名作選(第1期)) – エドワード・E. スミス, 赤石沢 貴士, 亀山 龍樹
  
宇宙船スカイラーク号
 E・E・スミス 亀山龍樹・訳 松永謙一・絵
  岩崎書店エスエフ世界の名作15 1967年4月
宇宙の超高速船
   岩崎書店SFこども図書館15 1976年2月
宇宙のスカイラーク号
 E・E・スミス 亀山龍樹・訳 赤石沢貴士・絵
  岩崎書店 冒険ファンタジー名作選13 2004年10月
原題:The_Skylark_of_Space
―――――☆―――――☆―――――☆―――――☆―――――☆―――――☆―――――☆
【あらすじ】
 若い科学者のシートンは金属Xを利用して銅から膨大なエネルギーを取り出す方法を発明した。研究所を辞め友人クレーンと組んで宇宙船の製造を始めるシートン。しかしこの発明を研究所のライバル・デュケーンが横取りしようと企む!
 宇宙船の設計図を奪って宇宙船を製造したデュケーンはシートンの妹ドロシィを誘拐して宇宙に逃亡!追うシートンとクレーン!太陽系の外まで広がる追跡劇が開始された!!
―――――☆―――――☆―――――☆―――――☆―――――☆―――――☆―――――☆


 スペースオペラの元祖と言われる作品のようです。
 あっけらかんと楽しくて面白い展開です。
 悪役・デュケーン博士は自ら行動して強盗・誘拐・殺人を犯すことを何とも思わない悪人です。しかしTPOを考慮して協力する方が得だと思えば従順に従う意外な面もあります。
 強敵が味方になると心強いという見本です。まさに「悪のヒーロー」というにふさわしいキャラであり、読者から人気あるいうのも当然という気がします。

 当HPで過去に何度か指摘してきましたが、亀山龍樹さんの訳文は、流暢な会話に特徴があります。
 例えばコンダール国の国王がシートン一行に会った時はこう言います。

「そのようにいうてもらえて、ありがたい。さあ、ごいっしょに、食事をしましょうぞ。それから、ゆっくりとお休みになったらよろしかろう」

 アマゾンのカスタマーレビューで、本作品の翻訳
川口正吉訳 (元ハヤカワSFシリーズ) と中村能三訳 (創元推理文庫)
の文体が古いとかいう意見があります。
 亀山さんの翻訳は抄訳ですが、今読んでも違和感ないくらい流暢です。

 また、本作品の作品世界と松永謙一さんの絵が意外とマッチしています。この亀山&松永コンビで続編も読んでみたいと思うのですが今ではかなわぬ夢でしょう。

  
  

 ところで、クレーンの秘書として日本の少年の四郎が登場します。
 本作品の連載が開始したのは1928年。第一次世界大戦と第二次世界大戦の間の時期です。そんな時代に書かれたアメリカのスペースオペラSFの元祖に日本人が登場するとはすごいですね。ドク・スミスは日本人と交流があったのでしょうか?しかも悪役ではなく、主人公グループの一員としての登場です。まあ冒険そのものには参加しないのでほとんど登場シーンはないのですが。続編にも登場するのでしょうか。できれば冒険に参加してほしいですね。
 ともかく当時のアメリカは多民族社会で、日本の少年も主人公グループの一員として登場していたのです。
 ディストピアものではない一般的なSFでは未来の社会は国や民族の違いを超えて共生している社会を描くことが多いと思います。
 しかし現在のアメリカはアメリカファーストとか言って外国人排除の方針で、大学の留学生まで追い返している状況です。そういう悪い風潮に日本も影響されて「日本人ファースト」を主張する極右政党に支持が集まったりしています。
 果たして人類は進化しているのでしょうか、これは退化ではないでしょうか。(2025.0723)
(なお、アイキャッチ画像は @ワンダー様 から拝借致しました)

宇宙のスカイラーク - E・E・スミス, 川口正吉
宇宙のスカイラーク – E・E・スミス, 川口正吉

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