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落語風・哲学するSF!どろんころんど 北野勇作

【あらすじ】
 セル・アンドロイドのアリスが長い眠りから覚めると、地球は人間のいない泥の世界に変わっていた。
 ヒトデナシという泥のような人間の出来損ないが支配する世界。
 しかし放送されているテレビの中に人間はいた。
 アリスとカメ型子守ロボット・万年1号は人間を探して旅に出る!

【感想:アンドロイドは意識を持つのか?落語の語り口で送る哲学するSF!】

 主人公はアンドロイドなんですね。物売りセールスの機能を持つセル・アンドロイドだからセルロイド。
 その他にもヒトデナシが登場したり係長と社長が登場したり、落語みたいな展開。
 それもそのはず、作者の北野さんは大学時代は落語研究会に所属していたらしい。
 落語でもSFができるという見本。
 出版された2010年はまだ人工知能がそんなに話題になっていなかったと思うのですが、セルロイドのアリスが意識について考えるなど、哲学しています。
 アリスの思考の過程がよく描き込まれていて、人工知能はこんな風に考えるのかと思ってしまいます。

 本作品には等身大のヒトデナシの他に、その巨人版が出てきます。
『進撃の巨人』の連載開始は2009年というから、お互いが影響したというより独立したアイディアなのでしょうか。
 さて、地球から人間が消えて泥の世界になった真相は?
 何だか『幼年期の終わり』を思わせる状態なんですが。

 ところで、我々人間が物語に触れる際、まずは昔話やおとぎ話から始まりますね。
 こういった物語は単純なもので、善い行いをした人が幸せになって悪い人はばちが当たるというようなストーリーです。
 不思議な世界に迷い込んでも元の世界に戻ってきたり夢だったりします。
 それから、少し成長してジュヴナイルとかライトノベルとかいうジャンルに達します。
 これらもまた異世界に迷い込んで冒険して戻って来るというのが基本パターンです。
 たまに佐野美津男作品のように、あちらの世界に行ったきり帰って来ないというパターンがあって、そんな作品がトラウマになって記憶に残ったりします。

原猫のブルース
  http://sfclub.sakura.ne.jp/sano02.htm

 もっと長じてようやく、アンチハッピーエンドに終わる文学作品や社会悪や戦争を扱ったノンフィクションに至るわけです。
 このように見ていくと、元の世界に戻る物語と行ったきりになる物語が、ヤングアダルトまでの作品と大人向けの作品の大まかな違いになるような気がします(あくまで素人の私がざっくり見た印象ですが)。
 本作品も落語風の語り口で楽しく読んでいって、いつかは人間に巡り合えるか、いつかはこの不思議な世界の由来について判明するか、いつかは元の世界に戻って来るか、はたまた夢オチだったのか、一体どうけりをつけるのかと期待するのですが、驚きの結末を迎えるのです。
 大人の世界の入り口に立ったヤングアダルト世代に強烈な印象を残す展開ではないでしょうか。
 登場するキャラ達もキャラが立っていて、まさしく落語的です。
 ヒトデナシの係長はよくしゃべって憎めないキャラです。
 アリスのかつての教育係・ゴトーさんが登場すると泣けてきます。
 万年1号も喋りはしないけど印象に残ります。
 そして本書はイラストやレイアウトも大切な要素になっています。
 この良さは電子書籍で読んでは味わえない。紙の本で読まないといけません。

 本作品の感想をネットで検索すると、著者は今までの作品でも泥の世界を描いたりカメのロボットを登場させたりしているようです。
 そう聞くと他の作品にも興味が出てきますね。

 

 さて、本書の巻末にはボクラノSFの目録が掲載されています。

きっと、胸がザワザワする
ボクラノSF
見えなかったものが見えてくる。
背伸びしたい10代におくる「名づけがたき」物語たち。

そこそこ好評ですが、
もうあと一押し!!
以下続刊!
お連れさまにもお勧めいただければ幸いです。

 目録には本書・第5巻まで掲載されています。
 そして本シリーズは第6巻まで出て休刊中です。
 もう駄目かもしれないけど、続刊希望します。

ボクラノエスエフ 近い過去に潰えていた夢
  https://sfklubo.net/bokuranosf/

  

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