マースティン【恐竜一億年】

恐竜一億年 (SFこども図書館 20) - マースティン, 福島 正実
恐竜一億年 (SFこども図書館 20) – マースティン, 福島 正実
  

恐竜一億年
 リチャード・マースティン 福島正実・訳 田名網敬一・絵
  岩崎書店エスエフ世界の名作20 1967年6月
  岩崎書店SFこども図書館26 1976年2月

恐竜一億年
 リチャード・マースティン 福島正実・訳 福井典子・絵
  岩崎書店 冒険ファンタジー名作選20 2004年10月

原題:Danger: Dinosaurs by Richard Marsten

―――――☆―――――☆―――――☆―――――☆―――――☆―――――☆―――――☆
【あらすじ】
 時間旅行が可能となった未来の話。
 国連では「時間旅行研究所」を建設し、1週間に一度、特別の許可を得た人達を過去の世界にタイムトラベルしていた。
 優秀な技師・オーエン・スペンサーはタイムトラベルを許可された人々を案内するガイド役も務めていた。
 オーエンの弟・マイクは恋人のデニスと共に兄の助手扱いとして時間旅行に強引に同行することになった。
 今回のタイムトラベルは著名な探検家のマスタースン一行。しかし彼らは傲慢な態度でありガイドのオーエンにも反抗的で、最初から不穏な雰囲気が漂っていた。
 一億年前の恐竜時代にタイムスリップした一行であったが、マスタースンらがオーエンの静止を振り切って勝手な行動を起こし、電気網発生器を壊してしまった!
 果たして彼らは無事元の世界に戻れるのであろうか……!?
―――――☆―――――☆―――――☆―――――☆―――――☆―――――☆―――――☆

 タイムトラベルが可能になったということですが、その運用の方法はどうなんでしょうか?1週間に一度だけ許可を得た人達がタイムトラベルをするとは、頻度が少ないと思うのですが?まあそれはそれで一つの見識かとは思いますが、今回タイムスリップを許可されたマスタースンの目的が「恐竜時代の記録映画を撮ること」だそうです。そんなことが「1週間に一度の特別な許可」なのですか?いや、確かに需要がある貴重な映画になることは確かなんですが。
 それに、時間旅行の運用がいい加減というか、安全性に欠けると思います。
 第一、同行する「時間旅行研究所」のガイドがオーエン技師一人とは少ない。しかもオーエンの弟やその恋人が情実で助手扱いで同行しているし。
 結局タイムトラベルするお客様が悪人だった場合、簡単に反乱されてしまいます。

 ところで主人公のマイク・スペンサーの年齢はどれくらいなんでしょうか。
 はじめは未成年かと思っていたのですが、自動車の運転もできるししっかりしてリーダーに推されたりしているので、立派な青年のようです。
 その恋人のデニスは旧版でも新版でも表紙にも描かれていて、重要な役割を果たすのかと思っていたら、セリフも描写も少ないし意外と話の本筋には関係しない存在でした。これじゃ初めから登場しなくても大きな変化はないような気がします。これが大人向けの小説ならば、悪人のマスタースン一味に色々ハラスメントを受けるところですが、子ども向け作品だからそれはありません。

      

……と批判するようなことを書いてきましたが、ストーリー自体は面白かった。
 タイムトラベル先で反乱されて従属状態になり、この恐竜が支配する世界を生き延びられるのか、そして無事元の世界に戻れるのかと先の展開が気になり次々と読み進められました。
 マスタースン一味からこちらに寝返る者もいるし、先に来ていた行方不明の学者先生が都合よく合流したり火山性の大地震が発生して地形が変わったり、一方で恐竜の襲撃のため一人また一人と犠牲者が出たり……。
 著者はエド・マクベインなどの複数のペンネームを使い分け色々なジャンルの作品を描き分けているそうです。
 私はリチャード・マースティン名義のジュブナイルSF作品をもっと読んでみたいぞ。

 最後、無事現在に戻ることができた生存者達。
 過去の世界で死者が出たためタイムパラドックスで歴史が変わっていた!
 主人公のマイク以外は新しい現状に順応しているのに、マイクには過去の記憶があるように描かれています。
 これは一体どういうことなのでしょうか?これは主人公補正なのか!?
 このラストの描写については熱心なSFファンの皆様方の検討に値すると思います。(2025年9月)


   
   
時間砲計画〈完全版〉 - 豊田 有恒, 石津 嵐
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