岩崎書店 ベルヌ冒険名作選集 全12巻 1959-1961年
岩崎書店ベルヌ冒険名作選集が、大阪府立中央図書館国際児童文学館にあるので見てきました。
貸し出し・撮影ができないので館内で閲覧のみ。
それだからか、古い児童書にもかかわらず本の状態は非常に良好です。
児童書とはいえ、結構字が細かくページ数もあるので読み応えあります。
45字×17行 1段組ですが200数ページあります。
これならかなりの内容が詰め込めます。
各巻、巻末に6ページの解説が収録。
前半3ページは白木茂さんの「ベルヌの生涯」。
これは各巻同じ文章です。
後半3ページは同じ白木茂さんが個別の作品について解説されています。
執筆当時のヴェルヌのエピソード中心で子どもでも楽しく読める工夫がされています。
2 皇帝の密使 亀山竜樹 訳 1964年12月 4刷
亀山節炸裂!『皇帝の密使』岩崎書店ベルヌ冒険名作選集版
https://sfklubo.net/kameyamabusi/
↑こちらで書きました。この巻に掲載されていた目録は以下です。
画像は日本の古本屋はなひ堂さまより
8 空中艇アルバトロス号 白木茂 訳 山内秀一 絵
1959年の初版タイトルは『空中艇アルバトロス号』
1961年以降の版のタイトルは『空飛ぶ戦闘艦』のようです。
1961年に本作品を原作としたアメリカの映画『空飛ぶ戦闘艦』が公開されたようで、それに合わせての改題でしょうか。
解説では、本作品執筆前後のヴェルヌについて記述されています。
本作品のアイディアを弟に話していた時期、ある時帰宅すると弟の息子に銃で撃たれて療養中に本作品を執筆したと書かれています。
なお、本作品では主人公の名はロビュールではなくローバーと記述されています。
映画でもローバーとなっているようです。
私の想像ですが、訳者の白木茂さんは英文学者なので、英語版からの重訳ではないでしょうか。
英語圏ではローバーとなるのでしょうか。
本書の絵師・山内秀一さんの筆によるアルバトロス号を複写して頂きました。
ジュール・ヴェルヌの空飛ぶ戦艦 主人公の名はロビュール?
https://sfklubo.net/robur/
画像は中国のヤフオクページのキャッシュより
11 大秘境の冒険 亀山竜樹 訳 藤原芳春 絵 1961年12月 2版
本巻には『大秘境の冒険』『難破船』の2つのバージョンのタイトルがあるようです。
1964年の目録では『難破船』と表記されています。
1964年に本作品を原作としたディズニー映画が公開され、日本公開の際、『難破船』というタイトルとなりました。
よって、それに合わせてタイトルを『大秘境の冒険』から『難破船』に改題したものと思われます。
本シリーズが刊行されて版を重ねている間に『空飛ぶ戦斗艦』(1961年)『難破船』(1964年)とヴェルヌの作品が立て続けに映画化されています。またその2作品ともこのシリーズに入っていました。
すごいヴェルヌ景気に湧いた時代だったのですね。
解説で白木茂さんが
「本作品の日本での翻訳は宮原晃一郎訳『船長のゆくえ』のみで、
亀山さんが2回目の翻訳」
という意味のことを書かれています。
また前書きで亀山さんが
「白木茂さんが所持していたアメリカでの英訳版からの翻訳」
という意味のことを書かれています。
[wikipedia:宮原晃一郎]
↑
ダンカン号の冒険 (ジュール・ベルヌ 同和春秋社(世界少年少女名作選集) 1955年)
船長のゆくえ (ジュール・ヴェルヌ 平凡社(冒険小説北極星文庫) 1956年-1957年)
の記述があります。この2冊は違う者なのでしょうか。
後者は上下2冊のようです。
前者は子ども向け縮約で後者は完訳ということなのでしょうか。
難破船(グラント船長の子供たち)
https://sfklubo.net/capitaine-grant/
> 岩崎書店 ベルヌ冒険名作選集 全12巻 1959-1961年
http://ameqlist.com/0a/iwasaki/verne.htm
https://garamon.jp.org/archive/5901
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