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チャレンジャー教授が抹殺した最凶のマッドサイエンティスト!『分解機』

 先日、コナン・ドイルの『地球最後の日(毒ガス帯)』を紹介しました。

20世紀少年少女SFクラブ
地球最後の日(毒ガス帯)

 https://sfklubo.net/the_poison_belt/
 https://sfkid.seesaa.net/article/480969829.html

   

 完訳版には短編『分解機』『地球の叫び』が同時収録されていましたので、それらについても軽く触れておきます。

 

【分解機(物質分解機】
【あらすじ:ネタバレ注意!】
 マローン記者の上司・マッカードルの依頼により、マローン記者とチャレンジャー教授はラトヴィア生まれの科学者を訪問する。
 この科学者・テオドール・ネーモルは、どんな物質でも分子状に分解する機械を発明したのだった。
 天才的マッドサイエンティスト・ネーモルとチャレンジャー教授の対面は、始めから険悪で不穏な雰囲気であった!
 分解機はトリックではないかと挑発するチャレンジャー教授に対しネーモルは実際に機械を動かしてみる。
 果たしてマローンもチャレンジャー教授も一度分子状に分解し、再び復活したのであった!
 この機械を使えば恐ろしい殺人兵器となるであろう。そしてそれはロシアに売約済みであった!!

【感想:大英帝国 VS 大ロシア帝国! 科学者による代理戦争勃発!】

 これはまたとんでもない結末です。
 シャーロック・ホームズにもドイツのスパイを騙し討ちするというエピソードがありました。
 本作品ではチャレンジャー教授はロシアの脅威を未然に防ぎました。
 コナン・ドイルは愛国者なのです。
 しかしテオドール・ネーモルという科学者も狂っているとはいえ、非常に有能です。
 チャレンジャー教授のライバルというにふさわしい人物です。
 このネーモルも一度はマローンやチャレンジャー教授を分子状に分解しておきながら、元通り戻しました。
 この辺お人好しというか詰めが甘いというか、チャレンジャー教授を甘く見過ぎていたのでしょう。
 その点チャレンジャー教授は攻撃的な人だから、チャンスは逃しません。
 有無を言わせず一気にネーモルを抹殺です。
 チャレンジャー教授ならそれくらいのことはやりかねないキャラです。
 倫理学上の問題・課題に「トロッコ問題」というのがありますが、本作品の結末は「分解機問題(ネーモル問題)」として長く議論されるでしょう。
 なお、ネーモルは永井淳訳での表記。龍口直太郎訳ではテオドール・ネモール表記となっています。

【地球の叫び(地球の悲鳴)】
 地球は一つの生命体であり、いわばウニのようなものだ!……というチャレンジャー教授の発想はスケールが大きい。
 それはいいのですが、なぜ痛みを与えようとするのでしょうか。
 地球を怒らせたらまずいことになると思わないのでしょうか。
 そこのところがよく分かりません。
 東洋人の私としては、宿主である母なる地球様と気持ちよく共存していきましょう!という発想になると思うのですが。
 何か落語のようなオチ。
 それでこの物語の後、どうなったのでしょうか。
 地球が怒って怒涛の反撃を行って大惨事が起こったりしていたりして。
(なお、イラストは角川文庫版掲載・三谷芙沙夫画)

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